平成24年度 1級建築施工管理技術検定試験  午前問題

No1〜No15までの15問題の内から12問題を選択し、解答してください。
解答及び解説で疑問を持ったら即調べてみましょう。
自分で調べた方が絶対に頭に入ります。
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No1 換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 在室者の呼吸による必要換気量は、室内の二酸化炭素発生量を、室内の許容二酸化炭素濃度と外気の二酸化炭素濃度の差で除して求める。
2 室内の許容二酸化炭素濃度は、一般に10,000 ppm(1%)とする。
3 風圧力による換気量は、他の条件が同じであれば、風上側と風下側の風圧係数の差の平方根に比例する。
4 換気量が一定の場合、室容積が大きいほど換気回数は少なくなる。

解答と解説: 

答え--- 2
建築物環境衛生管理基準によれば、室内の許容二酸化炭素濃度は、一般に1,000 ppm(0.1%)とする。ちなみに一酸化炭素濃度は、10ppm(0.001%)以下であり、過去問題にも出題例があるので注意のこと。

No2 北緯35 度付近における日照、日射及び日影に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 東向き鉛直面と西向き鉛直面の終日の直達日射量は、季節にかかわらず西向き鉛直面の方が大きい。
2 建物の高さが同じである場合、東西に幅が広い建物ほど影の影響の範囲が大きくなる。
3 同じ日照時間を確保するためには、緯度が高くなるほど南北の隣棟間隔を大きくとる必要がある。
4 冬至における南向き鉛直面の終日の直達日射量は、水平面の直達日射量より大きい。

解答と解説: 

答え--- 1
終日快晴という条件下では、西向き鉛直面と東向き鉛直面の終日日射量は、夏至や冬至にかかわらず、年間を通じてほぼ同じになる。


No3 音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 音波の回折現象は、障害物がその波長より小さいと起こりやすい。
2 マスキング効果は、マスキングする音とマスキングされる音の周波数が近いほど大きい。
3 室内の向かい合う平行な壁の吸音性が高いと、フラッターエコーが発生しやすい。
4 無指向性の点音源からの音の強さは、音源からの距離の2乗に反比例する。

解答と解説: 

答え--- 3
フラッターエコーとは、反射性の壁体が向き合い、音がこの壁面を繰返し往復反射し、二重、三重に聞こえる現象。壁の吸音性が低い場合に発生しやすい。


No4 鉄筋コンクリート造建築物の構造計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 煙突等の屋上突出部は、剛性が急変するため大きな地震力が作用するので、設計震度を増大させて計画する。
2 柱は、地震時のぜい性破壊の危険を避けるため、軸方向圧縮応力度が大きくなるように計画する。
3 地震時の応力集中による変形・損傷を避けるため、各階の剛性に大きな偏りがないように計画する。
4 腰壁、垂れ壁、そで壁等は、柱及び梁の剛性やじん性への影響を考慮して計画する。

解答と解説: 

答え--- 2
柱の脆性破壊はせん断破壊、付着割裂破壊が原因である。軸方向応カ度が大きい柱は曲げ応力やせん断に余裕がないので地震時には、曲げ圧縮破壊やせん断圧縮破壊を生じやすくなる。


No5 鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 大梁は大地震に対してねばりで抵抗させるため、原則として、両端での曲げ降伏がせん断破壊に先行するよう設計される。
2 耐震壁の剛性評価に当たっては、曲げ変形、せん断変形を考慮するが、回転変形は考慮しない。
3 一般に梁の圧縮鉄筋は、じん性の確保やクリープによるたわみの防止に有効である。
4 柱の引張鉄筋比が大きくなると、付着割裂破壊が生じやすくなる。

解答と解説: 

答え--- 2
耐震壁の剛性評価は、基礎回転変形、せん断剛性の低下などは考慮する


No6 鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 溶接と高力ボルトを併用する継手で、溶接を先に行う場合は両方の許容耐力を加算してよい。
2 応力を伝達させる主な溶接継目の形式は、完全溶込み溶接、部分溶込み溶接、隅肉溶接とする。
3 引張材の接合を高力ボルト摩擦接合とする場合は、母材のボルト孔による欠損を考慮して、引張応力度を計算する。
4 根巻き柱脚は、露出柱脚よりも高い回転拘束をもつ柱脚が構成できる。

解答と解説: 

答え--- 1
溶接と高力ボルトを併用する継手は、新築ではほぼ考えられないが、耐震補強の現場ではありえる。耐力を重ね合わせても良い場合は、溶接に先んじて高力ボルトを締め付ける場合であり、記述は誤り。


No7 直接基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 基礎底面の面積が同じであっても、その形状が正方形と長方形とでは、地盤の許容応力度は異なる。
2 基礎梁の剛性を大きくすることにより、基礎フーチングの沈下を平均化できる。
3 建物に水平力が作用する場合は、基礎の滑動抵抗の検討を行う。
4 圧密沈下の許容値は、独立基礎の方がべた基礎に比べて大きい。

解答と解説: 

答え--- 4
圧密沈下の場合の許容相対沈下量は、建築基礎構造設計指針によると基礎形状により異なっている。独立基礎は1.5cm(標準値)、連続布基礎、べた基礎の場合は2.0cm、べた基礎で剛性が大きい二重スラブのような場合は3.0cmとなっている。よって、圧密沈下の許容値は、べた基礎のほうが独立基礎より大きい。



No8 図に示す架構のC点及びD点に水平荷重が作用する場合の記述として、誤っているものはどれか。
1 支点A と支点Bに生じる鉛直方向の反力の大きさは4 kNで、向きも同じである。
2 支点B に生じる水平方向の反力の大きさは3 kNで、向きは右向きである。
3 節点E に生じる曲げモーメントの大きさは、12 kN・mである。
4 支点A から節点D間に生じる軸方向力の大きさは、4 kN である。

解答と解説: 

答え--- 1
VA=0
2×2-5×4+VB×4=0
VB=-4
VA=4
同じ4kNだが、支点Bは下向き方向、支点Aは上向き方向である。
支点B に生じる水平方向は5-2=3KNで右向きである。



No9 図に示す架構に集中荷重が作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。
ただし、曲げモーメントは、材の引張り側に描くものとする。
1
2  
3
4  

解答と解説: 

答え--- 3
4m梁の片持ちとなるので、上辺は3のような三角形になる


No10 図に示す材端条件を持つ長柱A、B 及びC が中心圧縮力を受けるときの座屈長さの大小関係として、正しいものはどれか。
ただし、柱の材質及び断面は同一とし、長さは等しいものとする。
一端固定
他端自由
 両端ピン
 水平移動拘束
 両端固定
 水平移動拘束
1 A>B>C
2 A>C>B
3 B>A>C
4 C>B>A

解答と解説: 

答え--- 1
一端固定・他端自由(A)は2.0、両端ピン・水平移動拘束(B)は1.0、両端固定・水平移動拘束(C)は0.5である。




No11 セメントに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 ポルトランドセメントは、セメントクリンカーに凝結時間調整用のせっこうを加え、粉砕してつくられる。
2 セメントは、時間の経過とともに水和反応が進行し、強度が発現していく水硬性材料である。
3 セメント粒子の細かさは、比表面積(ブレーン値)で示され、その値が小さいほど、凝結や強度発現は早くなる。
4 セメントの貯蔵期間が長いと、空気中の水分や二酸化炭素を吸収し、風化による品質劣化を起こしやすい。

解答と解説: 

答え--- 3
セメントの比表面積が大きいほど反応が進みやすく、強度の発現が早く、発熱量が大きくなる。よって、早強セメントの粉末度は普通セメントや中庸熱セメントに比較して大きくなる。利用用途によりセメントの水和熱を調整するために粉末度(比表面積)の大きさは重要になる。


No12 鋼材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 SN鋼のB種及びC種は、炭素当量の上限を規定して溶接性を改善した鋼材である。
2 TMCP鋼は、熱加工制御により製造された、高じん性で溶接性に優れた鋼材である。
3 SM 鋼は、モリブデン等の元素を添加することで耐火性を高めた鋼材である。
4 低降伏点鋼は、添加元素を極力低減した純鉄に近い鋼で、強度を低くし、延性を高めた鋼材である。

解答と解説: 

答え--- 3
SM鋼は鋼材の溶接性を高める目的で開発された鉄鋼材料である。高温側の使用限界温度は350℃で常温規格値の 2/3 まで低下し、火災時に構造部材の要求長期耐力を下回る。
モリブデン等の元素を添加することで耐火性を高めた鋼材で該当するのはFR鋼で、600℃における耐力が常温規格耐力の2/3以上であることが保証されている。



No13 日本工業規格(JIS)に規定される屋根に用いられる材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 粘土がわらの形状による区分は、J形粘土がわら、S形粘土がわら、F形粘土がわらである。
2 プレスセメントがわらの種類は、形状及び塗装の有無によって区分されている。
3 住宅屋根用化粧スレートの吸水率の上限は、平形屋根用スレート、波形屋根用スレートとも同じである。
4 繊維強化セメント板のスレート(波板)の曲げ破壊荷重の下限は、小波板より大波板の方が小さい。

解答と解説: 

答え--- 4
曲げ破壊強度では、小波:1470N以上、大波:3920N以上となっている。断面の大きな方が曲げ強度も高い。


No14 塗膜防水材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 屋根用ウレタンゴム系防水材は、引張強さ、伸び率、抗張積などの特性によって、高伸長形(旧1類)と高強度形に区分される。
2 1成分形のウレタンゴム系防水材は、乾燥硬化によりゴム弾性のある塗膜を形成する。
3 2成分形のウレタンゴム系防水材は、施工直前に主剤、硬化剤の2成分に、必要によって硬化促進剤、充填材などを混合して使用する。
4 塗付けタイプゴムアスファルト系防水材は、ゴムアスファルトエマルションだけで乾燥造膜するものと、硬化剤を用いて反応硬化させるものがある。

解答と解説: 

答え--- 2
2成分形のウレタンゴム系防水材は、主剤と硬化剤の2液を混合攪拌し、化学反応させて硬化させるものである。硬化促進剤などは必要量を超えたり攪拌時期を別にすると逆効果になり必要な強度が得られない。また、充填材は混合しない。




No15 日本工業規格(JIS)に規定されるボード類に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 けい酸カルシウム板は、断熱性、耐火性に優れ、タイプ2は内装用として、タイプ は耐火被覆用として使用される。
2 パーティクルボードは、木片などの木質原料及びセメントを用いて圧縮成形した板で、下地材、造作材などに使用される。
3 構造用せっこうボードは、強化せっこうボードの性能を満たした上で、くぎ側面抵抗を強化したもので、耐力壁用の面材などに使用される。
4 インシュレーションボードは、主に木材などの植物繊維を成形した繊維板の一種で、用途による区分により畳床用、断熱用、外壁下地用として使用される。

解答と解説: 

答え--- 2
パーティクルボードとは木材の小片を接着剤と混合し熱圧成型した木質ボードのこと。
木片などの木質原料及びセメントを用いて圧縮成形した板は、木毛セメント板(木片セメント板も同じ)である。


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